画像出典:刀剣乱舞(とうらぶ) – 公式 –
大人気ブラウザゲーム、「刀剣乱舞」。
ミュージカル、アニメ、そして舞台と大成功をおさめ、来年は実写映画も公開される大人気タイトルです。
年末にもミュージカル「刀剣乱舞」が紅白歌合戦に参加決定となり、大変話題になりました。
そんな「刀剣乱舞」ですが、原作ゲームでは、11月21日まで新システムのイベント「特命調査 聚落第」を開催しています。
【新イベント「特命調査 聚楽第」続報】
10月下旬実装予定の新イベント「特命調査 聚楽第」のお知らせ動画を公開いたします!現れた謎の人物。本丸に下される特命とは――
実装をお待ちください。#刀剣乱舞 #とうらぶ pic.twitter.com/UQVqiIHyOI
— 刀剣乱舞-ONLINE-【運営】 (@TOUKEN_STAFF) 2018年10月16日
毎日2回リセットされる6面の「賽」を振って、すごろくのように進めていく新イベントですが、今回はゲーム内通貨である「小判」で周回することが出来ず、無課金プレイヤーには少し厳しめのイベントです。
無課金で無限周回ができないので、死ぬほど周回したい人は課金必須ですね。私も我慢できずにいくらか突っ込みました。
というのも、一定条件でボスを撃破すると、今回のイベントでは新しい「刀剣男士」が入手できるんです。
11月9日にはその全貌も公式で明かされました。
【新刀剣男士公開 山姥切長義(やまんばぎりちょうぎ)】(2/2)
「俺こそが長義が打った本歌、山姥切。どうかしたかな? そんなにまじまじと見て」(cv.高梨謙吾) #刀剣乱舞 #とうらぶ #新刀剣男士 pic.twitter.com/kkPQRk9Zea— 刀剣乱舞-本丸通信-【公式】 (@tkrb_ht) 2018年11月9日
彼は、「山姥切長義」という刀の刀剣男士です。プレイヤーなら聞き覚えがあるかもしれませんね。
そう、既に実装されている刀剣男士「山姥切国広」と深い因縁があるあの刀なんです。
そしてこの「山姥切長義」ですが、入手した後の「とあるセリフ」が原因で、早々に手に入れたプレイヤーの間で大きな波紋を呼びました。
今回は、彼がどんな刀なのか、彼の問題発言も踏まえて詳しく見ていきましょう。
「刀剣乱舞」の山姥切長義とはどんなキャラクターなのか?
「山姥切長義」とは、一体どんな刀なのでしょうか?
それを解き明かすには、やはり元となった名刀「山姥切長義」について知ることが不可欠です。
その上で、キャラクターとしての「山姥切長義」が、どのような人物として描かれているのかを探っていきましょう。
山姥を斬ったという伝説のある名刀
「山姥切長義」は、備前長船の刀工に作られた刀です。
備前長船というと、「刀剣乱舞」でも屈指の人気キャラクターである「燭台切光忠」の”親戚のおじさんのお嫁さん”くらいの関係になりますね。
なので内番ジャージもどこか、長船派に似たスポーティなデザインになっています。
全く同じ流派というわけではないのですが、作風が似ているのだそう。
そんな彼を有名にした逸話は、やはり「山姥切」の伝説です。
”信濃の国で山姥を斬った”という化物斬りの逸話が、彼のルーツになっていますね。
刀剣乱舞で化物斬りの刀といえば、鬼を斬った逸話を持つ「髭切(鬼切丸)」や、幽霊を斬った「にっかり青江」などがいます。
妖怪や鬼を斬ったという逸話をきくと、確かにすごい刀なんだな、と感心してしまいますよね。
彼も、間違いなく名刀なわけです。
ただし、正確には山姥を斬ったという記述は資料に残っていません。
なので通常、美術館で展示される時は「山姥切長義」という名前では展示されません。
調べると出てきますが、彼は36文字のとても長い銘が刻まれています。展示ではこちらを目にすることが多いでしょう。
初期刀の一振り「山姥切国広」の元となった刀
「刀剣乱舞」プレイヤーにとって看過できないポイントは、なんといっても「山姥切長義」と「山姥切国広」の因縁です。
「山姥切国広」は、プレイヤーがゲーム開始時に選ぶことができる刀のうちの1人。
そして説明にある霊刀「山姥切」とは、「山姥切長義」のこと。
「山姥切国広」は、「山姥切長義」をお手本として作られた刀なんです。
彼の「俺は偽物なんかじゃない」というセリフは、彼を使っていると幾度となく聴くことになる言葉ですね。
刀には、「写し」と呼ばれる作品があります。
これは、「この刀を元にして私なりに作刀してみました」と刀工が自ら言っているということで、ありていに言うと「模写」とか「オマージュ」のような分類になりますね。
元の刀をきちんと尊重して作られるので、芸術品としてもとても価値があります。
それに対して、刀で「偽物」と言われるのは「贋作」のことです。
「贋作」は、全く関係のない刀工が別の流派を騙って銘を切っているもので、これは「なりすまし」みたいなものですね。
これはいわゆる詐欺行為なので、歓迎されません。
贋作が出回っている有名な刀といえば、「虎徹」です。
よく斬れると評判で価値もとても高いので、多くの刀工が「虎徹」を騙った質の悪い刀を作りました。
「山姥切国広」は「写し」なので、これは偽物とは区別されるべきものだ、というのが彼の言い分です。
プレイヤーにも幾度となく伝えてくるので、「写しと偽物は違うんだな」と認知しているプレイヤーが圧倒的多数でしょう。
これが今回、かなり重要なポイントになってくるんです。
次は、「刀剣乱舞」における「山姥切長義」がどんなキャラクターなのかを、今までのポイントを加味して解説しますね。
「刀剣乱舞」における「山姥切長義」とは?
【謎の人物】
本丸に現れた謎の人物
彼よりもたらされたのは、放棄された世界・歴史改変された聚楽第の調査。
それは、時の政府からの特命だった。「来たか……。いい覚悟だ」(cv.高梨謙吾) #刀剣乱舞 #とうらぶ pic.twitter.com/x5DgC5SHPE
— 刀剣乱舞-本丸通信-【公式】 (@tkrb_ht) 2018年10月30日
「刀剣乱舞」の「山姥切長義」を手に入れる方法は、他の刀とは少し異なっています。
それは、イベントの内容にも深く関係している重要な設定。
いったい、「山姥切長義」はどのように私達プレイヤーに関わってくるのでしょうか?
出会いから順番に追いかけますね。
確定報酬の「山姥切長義」は政府の「監査官」としてプレイヤーと出会う
プレイヤーが初めて出会う「山姥切長義」は、「時の政府」から派遣された「監査官」です。
彼は、今回のイベント「特命調査 聚落第」の重要キャラクターとして、冒頭からプレイヤーたちに同行しています。
「時の政府」というのは、プレイヤーである審神者にとっては「上司」。
上司からのお目付け役ということで、この時点で既に警戒状態のプレイヤーも多くいました。
なにせ原作は、鬱展開で有名な「ニトロプラス」ですから。
かくいう私も、彼がどんな風に関わってくるのかわからず警戒していたひとりです。
彼は、「敵の討伐数」「ボスとの戦闘結果」の2つからプレイヤーを評価します。
この評価が「優」になると、報酬として彼「山姥切長義」がプレイヤーの仲間として加わるんです。
この初めて手に入る「山姥切長義」だけは、「優秀な本丸と判断して派遣されたが、さて」と、入手ボイスでプレイヤーを値踏みをするような発言をします。
この発言も、「あまりにも不穏」「さすがニトロプラス」と随分波紋を呼びました。
「山姥切国広」に対して一物抱えている様子
「山姥切国広」は、「山姥切長義」の「写し」にあたる刀です。
このことから、「山姥切国広」が「山姥切長義」を意識していることは明らかにされていました。
しかし、どうやら「山姥切長義」のほうも「山姥切国広」を意識している部分があるようです。
しかも、あんまり良いイメージではない雰囲気を醸し出していました。
この因縁が、ある「問題発言」に繋がってしまうんです。
物議を醸した「山姥切長義」の問題発言「偽物くん」
「山姥切長義」が、他の刀のようにすんなりと受け入れてもらえなかった原因は、ずばりこの「偽物くん」という発言です。
「偽物くん」というのは一体誰に対してなのか、そしてなぜそんな呼び方を使ってしまうのか。
彼の問題発言がなぜ生まれてしまったのかを、ここからは見ていきます。
「山姥切国広」のことを本人に対してもプレイヤーに対しても「偽物くん」と呼ぶ
なんと「山姥切長義」、刀帳での解説で「山姥切国広」のことを「どこかの偽物くん」と呼んでいるんです。
また、本人に対しても「偽物くん」と呼びかけるなど、あまり穏やかではない呼び方をしました。
この挑発的な態度が、刀剣乱舞の古参プレイヤーを刺激したのです。
「嫌い」?プレイヤーにはこの発言が受け入れられないという人が続出
「山姥切国広」は、「山姥切長義」の「写し」として常に比べられることにコンプレックスを抱いています。
そんな彼は公式サイトの説明の通り、ことあるごとに「偽物なんかじゃない」と主張してきました。
最近実装されたレベル解放システム「極」で修行に出ることで、「山姥切国広」はこのコンプレックスに一区切りつけたばかり。
もちろん、「極」になっていない「山姥切国広」は未だに自分のコンプレックスと戦っています。
かねてから「山姥切国広」の成長を見守っていたプレイヤーの中には、彼の「偽物くん」発言が受け入れられないという人が続出しました。
一時期は、Twitterのサジェストで「山姥切長義 嫌い」と出てくるような炎上具合でしたね。
しかし、「流石に可哀想では」と、苦言を呈するプレイヤーの声もちらほら聞こえます。
「彼にもいろいろあるんだから」という擁護の声も
山姥切長義は、山姥切国広を認められないんじゃなくて“認めたくない”。許せないんじゃなくて“許したくない”。山姥切国広は嫌いな存在でないとある意味困るんだ。きっと山姥切国広を認めてしまったら、それは自分の存在を否定するのと同じことだと思ってるんだと思う
— ネーヴェ (@souru221) 2018年11月9日
もちろん、「山姥切長義」に対して好意的な声も多数あります。
というのも、「山姥切長義」が「山姥切国広」に劣等感を感じてしまっているように見えるセリフが、そこかしこに見えるからなんです。
心から見下しているのではなく、「優位に立とうとしないと保てない、というのが彼の真意なのではないか」というのが、刀剣乱舞の「山姥切長義」に対するメジャーな見解になってきています。
実際のところ「山姥切長義」って嫌なヤツなのか?
山姥切長義のキャラクターデザインを担当いただきました、⑪氏より山姥切国広の極の姿の実装、そして山姥切長義のゲーム実装を記念した描き下ろしイラストを頂きました!なお、新刀剣男士 山姥切長義が手に入るイベント『特命調査 聚楽第』は2018年11月21日(水)13:59まで△△ #刀剣乱舞 #とうらぶ pic.twitter.com/Y7JwfnIg6E
— 刀剣乱舞-本丸通信-【公式】 (@tkrb_ht) 2018年11月13日
しかし実際、「山姥切長義」は本当に嫌なヤツなのでしょうか?その点についてもう少し考察してみました。
プレイヤーに対しては少し高慢ながらも穏やか
「山姥切長義」は少し高飛車ながらも、プレイヤーには好意的です。
「山姥切国広」はクリックしすぎると、「綺麗とか言うな」と照れながら怒ってくるのですが(それがとても可愛いのですが)、「山姥切長義」は「減るものではなし」と気分を害した様子はありません。
名刀であることを認めてくれる相手に対しては、物腰穏やかに接してくれるのでしょう。
問題の「偽物くん」発言には彼の複雑な心境が反映されている
彼は、自分の出自に誇りを持っています。
それは自分は「名刀」であり、「山姥を斬った」霊刀であるということに裏打ちされているものです。
しかし、この「山姥を斬った」という「山姥切」の号のルーツが、かなり複雑な背景を持っています。
というのも、山姥を斬ったという伝説には、「長義が斬った」という説と「写しが斬った」という説の2つがあるんです。
彼の「写し」である「山姥切国広」は、国広の最高傑作と呼ばれるほどの名刀。
本人も、「俺は堀川国広の最高傑作だ」と話していますね。
どのくらい傑作なのかというと、古い文献の中には、「本科(山姥切長義)より斬れる」と評された文献もあるほどなんです。
「山姥切長義」は、自分の「山姥切」伝説にこだわりを持っている刀。
「山姥切長義」の「写し」だから「山姥切国広」という名前になった、という説が有力であれば、「山姥切長義」は「山姥切国広」をこんなに意識しなかったでしょう。
しかし実情では、「国広作の写し」が山姥を斬ったから、元となった「長義」の刀に「山姥切」の号がついた、という説も多く語られています。
自分の存在を脅かされ続けている彼は、「山姥切国広」を認めるわけにはいかないんです。
荒れているプレイヤーの反応が証明する「山姥切国広」の存在感
「山姥切国広」は、ゲーム開始時点で選べる刀のひとつ。
これはつまり、プレイヤーの中では一番最初から「山姥切国広」を使っているというプレイヤーが数多くいるということです。
また、打刀でも初期実装の「山姥切国広」はレアリティもさほど高くありません。
打刀は戦場ドロップでも「鍛刀」でも簡単に入手できるので、初期刀に選ばなくても比較的すぐに仲間になる刀なんです。
「山姥切国広」が3年前から実装されており、入手しやすいことと比べると、新規イベントで実装された「山姥切長義」は入手難易度が高いと言わざるを得ません。
しかも、今回のイベントもカンストの刀でないとボス踏破は難しい、と言われる難易度のコンテンツです。
それなりにやりこんでいるプレイヤーでなければ、「山姥切長義」は入手できません。
つまり、「山姥切長義」が「山姥切国広」よりも早くプレイヤーの元にやってくることは「ほぼない」と言えるでしょう。
「刀剣乱舞」のプレイヤーは、「山姥切国広」という刀を通してその本科である「山姥切長義」を知ります。
これは、本家本元として自分の出自に誇りを持っている「山姥切長義」のプライドをひどく傷つけているのでしょうね。
「山姥切」は俺だ、と主張するセリフが多いのも、自分の立場が脅かされている恐怖から来るのかもしれません。
プレイヤーの中からは、「まあそりゃひねくれるよね」と同情する声も多数見受けられるようになりました。
【まとめ】初期の「山姥切国広」のこじらせ方を思い出して「山姥切長義」の成長も見守ってほしい
「山姥切長義」は、とにかく自分の経歴に自信のある誇り高い名刀です。
名刀でありながら、自分を凌ぐほどの「傑作」と評価も高い「写し」を持った彼のコンプレックスは、いかほどのものなのでしょうか。
その上、「山姥切」という存在のよりどころともいえる逸話を奪われる恐怖はどれほどになるでしょう。
「山姥切国広」は美術館に展示された際、「地域に4億の経済効果をもたらした」とニュースになり大きく話題になりました。
今でも「4億の男」ともてはやされることが多いです。
「山姥切国広」の知名度が上がれば上がるほど、「山姥切長義」の焦りは加速していったでしょう。
今はただ、その焦りと恐怖から強がった態度しか取れないのかもしれません。
いつか「山姥切長義」も、成長して逸話にとらわれない自信をつけてくれる日が来ます。私たちはその日まで彼を見守っていきましょう!