「刀剣乱舞」同田貫正国は無用の刀?戦を知らない実戦刀の見た世界

画像出典:刀剣乱舞(とうらぶ) – 公式 – 

ついに刀剣乱舞も4周年の年に突入しましたね。豆まきイベントも終わり、新刀剣男士の実装も発表されました。

次に実装される刀は「剣(つるぎ)」ということなので、4周年にして新しい刀種がくることに今からわくわくしています。

新刀剣男士の白山吉光(はくさんよしみつ)もそうですが、名だたる名剣名刀が揃う刀剣乱舞ですから、キャラクターの立ち絵を並べるだけでも圧巻の華やかさですよね。

そんな中、イラストからして異質に見えるほど荒々しい刀がいるのをご存知でしょうか。

黒尽くめで質素なデザインの衣装、そしていわゆる女性向けらしいきれいなイケメンとはまた違った面構え。

それが、同田貫正国(どうだぬきまさくに)です。

4周年、新たな展開を迎えた刀剣乱舞を振り返るためにも、ここではこの同田貫正国が抱える物語を紐解いていきます。

「同田貫正国」刀剣乱舞での波乱の歴史

刀剣乱舞「同田貫正国」

刀剣乱舞の「同田貫正国」のモデルになっている刀は、「兜割りの同田貫」と言われたほど頑丈さが売りの打刀です。

頑丈で折れにくく、切れ味も抜群なのですが、美術刀としての価値は低いと言われていますね。

本人も自覚しているのか、それともどうでもいいのか、出会った時から一貫して「刀は斬れればそれでいい」というスタンスです。

斬ること以外には興味がないんですね。座右の銘は、「質実剛健」。

質実剛健というだけあって、メディアミックスでも期間限定ボイスでも、本当に戦に出ること以外一切興味がないシンプルな戦闘狂です。

極も実装されましたが、同田貫正国はあんまり性格やキャラの方向性は変わりません。

むしろ手負いで本丸に帰ってきても「折れて死ぬまでどんどん行こうぜ」と戦に出る気満々、手入れに入れても「すぐ直すから次の戦も連れていけよ」と戦に関する貪欲さは悪化しています。

それ以外のセリフは全部興味なさそうなのがなんとも彼らしい。

人間の体を持っているのに刀に重きを置いて、「使われなければ無意味」という態度を貫き通しているのは私の体感ではこいつだけです。

核となるエピソードが少なく、キャラ付けもシンプルですが、彼のキャラクター設定には異色と言っても良い独特の設定があります。

しかも、彼は刀剣乱舞の中でも様々な事件に巻き込まれている刀でもあるんですよ。

それでは、彼「同田貫正国」とゲーム「刀剣乱舞」の辿った歴史について見ていきましょう。

 

無数にある同田貫正国の集合体という設定

作中ではあまり語られませんが、同田貫正国は一振りの刀ではなく、「同田貫正国の刀の集合思念」という設定がつけられています。

この設定は見落とされがちなんですが、インタビューで語られた他には修行の時の手紙にも採用されている公式設定です。

なぜ集合体なのかというと、同田貫正国と銘を切られた刀は実は打刀一振りではなく、無数に存在するから。

同田貫正国は「同田貫」という刀工の初代である「正国」が作った刀なのですが、実は同田貫正国一人が打った刀だけでも、粟田口の比じゃない量が出回っています。

「短刀」「脇差」「太刀」「薙刀」…様々な刀を「同田貫正国」は作刀されており、いわば量産刀の代表格と言える存在。

三日月宗近が「シャネル」だとしたら、同田貫正国は「しまむら」くらいの身近なブランドなんです。

美術刀は「持っているだけでステータス」なんですが、同田貫正国は斬って使ってなんぼですから、彼がゲームの中で「刀は斬れればいい」と切れ味にこだわるのも納得ですね。

このシンプルすぎる彼の信条はいっそ潔すぎて気持ちいいというか、かっこいいところなんですよ!

そんな数えきれないほどある同田貫正国ですが、実用品としての側面が強すぎて、逸話を持つ刀はあまりありません。

その数少ない逸話の中でも最も有名なのが、「兜割り」です。

なので、唯一逸話が残っている「打刀」の同田貫正国が代表格として、性格やエピソードが作られているんです。

 

「太刀」から「打刀」へステータス変更が入った刀

同田貫正国は、ゲーム開始当初に実装された初期の刀です。

現在の彼のステータスは「打刀」ですが、実は実装当初の彼は「太刀」でした。

量産刀だからでしょうか、同田貫正国はステータスが優秀とは言い難くて、「太刀」では下から数えたほうが早いくらい低めでした。

コモン太刀の中でもステータスは低め、不遇の刀と言われた時代もあったくらいなんです。

ところが、第6ステージ「池田屋の記憶」実装の際に「和泉守兼定」「大倶利伽羅」と共に、レア度3の「レア打刀」としてステータス変更されました。

この時僅かですが、この3振りはステータスに上方修正もかかったんです。

当時は「打刀」にはレアは存在せず、全部レア2の刀だったんですよ。ちなみに当時のステータストップはへし切長谷部です。

ステータスとして恵まれてるとは言いがたかった同田貫正国ですが、打刀になることで使い勝手は良くなりました。

メリット デメリット
打刀 投石兵が使える・二刀開眼できる・夜戦での下方修正なし 尖った特徴がない・打撃が弱め
太刀 重騎兵を装備できる・全体的に打刀よりステータスが高め 夜戦で弱体化・足が遅いため先手を取られる可能性大

池田屋の記憶は全ステージ夜戦なので、下方修正がかからない打刀は部隊に加えやすくなり、活躍の場は多くなります。

さらに、脇差と打刀のみで発生するコンビ技の二刀開眼が使えるようになり、ダメージソースとして短刀に負けず優秀な戦力に数えられるようになりました。

極めつけは投石兵です。打刀になると「投石兵」という刀装を使えるようになり、白刃戦にもつれ込む前に敵を殴れるようになります。

しかも、「同田貫正国」「和泉守兼定」「大倶利伽羅」は太刀のときのステータスそのままで打刀になったので、(太刀の中では不遇ステータスだったとはいえ)打撃も太刀レベルを維持しています。

この中でも和泉守兼定と大倶利伽羅はコモン太刀の中では申し分のない実力だったので、変更後はレア度に恥じないステータスで打刀トップに食い込みました。

同田貫正国はこの2振りに比べると見劣りするものの、太刀の頃に比べれば飛躍的に使いやすくなっています。

ですがこの突然のステータス変更、ファンの中でも戸惑いが多く、「今更変更しないでほしい」「太刀を打刀とするのは史実に対して不誠実」とかなり非難を浴びました。

特にこの3振りに思い入れのある人の中には、ショックを受ける人や情緒不安定に陥ってしまう人も少なくなかったくらいです。

私もショックすぎてしばらく立ち直れず、刀剣乱舞をやめようかと真剣に考えました。

頭では、ステータス的にはむしろ使い勝手が良くなるということは理解していたんです。

だから、これは良いことだということはわかっていて、喜ぶべきことなんだと何度も自分に言い聞かせました。

でも、全然気持ちが受け付けませんでした。結局割り切るまでに半年かかりました。

というのも、私にとって「同田貫正国」は初めての太刀だったんです。

めちゃくちゃ嬉しくて、すぐに鍵をかけて、お守り持たせて、いろんな戦場に連れ回してレベリングした思い出があります。

なのに、「打刀」になってしまったら、ゲームデータ上にその事実が残らないじゃないですか?

私のデータを入手順にソートすると、初めての打刀は「鳴狐(なきぎつね)」、初めての太刀は「燭台切光忠」になるんです。

私の初めての太刀は同田貫正国だったのに、もうゲームデータには初めての特別な刀という証拠が全部消えてなくなってしまってるんですよ!

私にとって同田貫正国は最初の太刀だったので、思い出を汚されたような気分になって、しばらく運営に裏切られたような気持ちになったんです。もうめちゃくちゃつらくて、なんなら号泣しました。

結局、「戦狂いのこいつが出られる戦場が増えたんだからいいじゃん…」となんとか心に整理をつけました。

 

名前の読み方を間違えられた事件

刀剣乱舞「同田貫正国」

同田貫正国とゲーム「刀剣乱舞」の因縁はこれだけではありません。

現在入手できる彼は「どうだぬきまさくに」ですが、実装当初は「どうたぬきまさくに」だったんですよ。

調べたところ、「同田貫」はどちらの読み方もされるようですが、正式には「どうだぬき」のようです。

同田貫を「どうたぬき」と読む読み方は、子連れ狼という作品の主人公の愛刀「胴太貫(どうたぬき)」と混同されたという説が有力とのこと。

「どう たぬき まさくに」なので、愛称として「たぬき」と呼ばれる事が多く、刀剣乱舞-花丸-でもよくネタにされました。

同田貫正国だけではありません。短刀の「厚藤四郎」も初期は「あつとうしろう」と読まれていたのですが、正しくは「あつしとうしろう」だったんです。

これらの読み間違いはファンからの指摘で判明し、この2振りはボイスもすべて撮り直しで差し替えられる事態になりました。

波乱万丈な刀剣乱舞の歴史は、最早同田貫正国の歴史と言ってもいいかもしれませんね。

 

実戦刀なのに戦を知らない?時代に恵まれなかった同田貫正国

刀剣乱舞「同田貫正国」

刀剣乱舞に実装されている「兜割り」の同田貫正国は、平和な時代の刀というのはご存知でしょうか?

刀剣乱舞の同田貫正国が話す「兜割り」というのは、明治20年に天皇が行幸されるのに合わせて開催された「鉢試し」という見世物のこと。

鉢試しというのは、刀・槍・弓の使い手が兜を壊せるかを見るというもので、この時同田貫正国を使ったのは榊原鍵吉(さかきばらけんきち)という剣術家です。

この日の鉢試しでは既にその時2人が失敗していましたが、榊原鍵吉は同田貫正国を使い兜を「五分(約15mm)」切り込んで見せました。

日本刀は鉄でできているとはいえ、鉄の兜を割るというのはそう簡単ではありません。

榊原鍵吉が凄まじい剣術の使い手であったということは間違いないのですが、この時使われた同田貫正国は、鉄を斬った後にも関わらず、刃こぼれひとつなかったそうです。まさに質実剛健。

めちゃくちゃ丈夫で切れ味の良い同田貫正国の性能を証明し、同田貫正国は一気に有名になりました。

元々戦国時代から、「同田貫正国は刃こぼれしたら鈍器として振り回して敵を殴り殺すこともできる」なんて言われているほど頑丈さが売りの刀なんですけどね。

普通の刀をそんな使い方したら、まず折れて使い物になりません。

ということは、刀剣乱舞の「同田貫正国」も刃こぼれし始めたらぶん殴って戦場を駆け回っているのでしょうか。

容易に想像できてしまいます。こいつならやりかねない。

ただし、同田貫正国自身は「見世物でもしないと実力を示すことができない嫌な時代」と、あまり自分の逸話が気に入っていません。

明治の頃は見世物くらいでしか刀の活躍する場面はなく、日本軍で刀を所持している軍人もいたのですが、精々軍人の立場を示すための飾り刀という扱いで、実戦で使われることはありませんでした。銃と大砲の時代ですからね。

「質実剛健」がモットー、切れ味以外はどうでもいい、戦闘以外に興味がない、という彼にとっては生き地獄のような時代だったのではないでしょうか。

戦でこそ真価を発揮する刀として生まれたのに、平和な時代の見世物が最も有名な逸話という同田貫正国、あまりにも皮肉だと思いませんか?

 

【まとめ】同田貫正国が自分らしく輝ける場所はあなたの本丸だけ

刀剣乱舞「同田貫正国」

同田貫正国が本丸で最も戦を好み、戦果を欲し、戦いの日々を渇望しているのは間違いありません。

というか、こいつは戦のこと以外なにも考えてないでしょうね。

なんなら作戦すら考えていないかもしれません。敵のど真ん中で刀振り回すことだけが生き甲斐なんです。

そんな同田貫正国が自分らしく生きていられる場所を与えられるのは、あなただけ。

無骨で不器用な彼を、これからも最前線で使い倒してくださいね。